水が


とまあ、今日はそういったお話をさせて頂ければと思いこうして馳せ参じた次第でございまして、今からお話させていただくそういう諸々の言説において甚だ僭越ながらこの私どもの考えというものに対してこの、ざっくりとした概要だけでも掴んでいただいて、今日は皆様にとって今後の将来を見据えた有効な手がかりとしてこの場が活用される事を願いつつですね、そうしてそれぞれの中で持ち帰ってもらえれば、そうであれば私どもといたしましてはこれに勝る歓びはございません。


たとえば水を溜めて、その水に対してそっちの方向に流れろとですね、そのように力いっぱい命令して、そのためのシステム構築と運用を立案してもですね、水が、そのように流れることは、これは絶対にありえません。水が、意図した方向に意図した通りに流れるためには、これはもう、いうまでもないお話なんですけれどもそのようにさせたいのであれば、まあ単純にこころもち傾斜をあたえてあげるとかうつわのかたちを変えてあげるとかそれとは異なるなにか外部的な装置の導入を検討するとか甚だ単純なたとえで恐縮なんですけれどもそういった低コストな工夫で結果的に水がおのずと流れるようなですね、そういう仕組みをつくるべきだ、という、ここまではどなたでも容易に理解できるお話だと思うんです。


ところが、ここでこの水をそれ自体何とかしたいと思ったとしますよね。昨今のニーズとしてね。はい、よくあるそういうお話ではあるんですけれどもそれだとこの、水それ自体の性質に働きかけても、なかなか難しいのではないだろうかという懸念も当然出て来るわけです。これはもう、かなり最初の初期段階である程度予想可能ではあるので、もちろんその方向で推し進めても無駄ではないかもしれませんし、実際の過去の事例も直近にいたるまである程度豊富に存在する事実を鑑みてもですね。そういった過去の実績に照らし合わせてみても決してこれはあながち間違った話ではない訳です。よろしいですかここまでいいですかね。そうしてみてももちろんかまいませんが。でもそれはあまりにも非効率的だしコストもかかるだろうということで色々あるよね大変だよね稟議通らないよね後々の始末つけられないよね、みたいな話もこれまた当然出てくる中で、たとえば水に何か混ぜ物を加えるとかしてという、いいですか水に何かを混ぜる、といったような方向性でですね。今ここで私のお話しているようなこの水に対して施したカスタマイズによって、新たにその、新規であたえたその特性によって、当初の要求を実現させるというプランが浮上してくるというのはこれは実にまっとうな、大変理に適った対策案ではあって、非常によくわかりますし、事業継続といった観点からもまったく頷ける経営的ご判断だというふうになりますよね。というかその点はもうすでにお察しの通りこれは充分に予測可能な範囲の事象なんですし私もここはそのつもりで申し上げてはいます実際は。しかし、しかし、それはただしですね。しかしそれはあまりにも強大な努力と根気の必要な難航事業となるんじゃないですか、といった意見が。これが各所の各部署の各事業所からもう火山のマグマのように噴き出てくるというそういった事態の勃発において、これをどう捉え、これにどう対処の戦略を組織しうるのかといった観点においてはですね。我々はそのときすでにあまりにも無防備な状況に陥ることを避けられないという。その可能性もだから決して否定はできない、といったものと、ですからここはそのようなある仮定としてのレイヤーを一層設けさせて頂いても差し支えないと思っておりまして。で、でね。だからそれだけは、避けたい。要するに避けたいと思うわけです。その一念というのはやはり、ある訳です。水はやはり水なのだから、なんといっても、水ですからね!で、そのもともとある性質というものを、これは本来の我々の目的、従来の要件に立ち返ってですね。深呼吸をして頭をクリアにしてもう一度ですね。これらを有効に利用するための、もっともシンプルな手段を模索すべきなんじゃないの?その段取りであながち間違ってないんじゃないの?といった思考のですね。そういう試みというのが、なにしろもっと注目されて良いと私は思うんです。なにしろ、水なんです。いいですかもう一度言います。なにしろ水なんですよ。それはね。はい。水です。だから、かならずあたえられたうつわのかたちにしたがうはずなんですよ。いいですか。私いま何も難しいことを申し上げたつもりはございません。それだけは、たしかなんです。だから、それを利用しない手はない。申し訳ありません今回私それだけは言い切らせてほしいです。ご叱責賜る覚悟で申し上げますね。ここ断言させてください水は、うつわのかたちにしたがいます。水が、うつわにしたがうという、たった今この私が畏れ憚りながら申し上げましたこの規定的抜本的な事実をですね。このまるで黒光りする鉱石のような動かしがたい事実を皆様いまいちど勇気を振り絞ってですね。その厳粛な規定の事実たる事実を、その世界の動かしようのない法則として、皆様ひとりひとりの胸の中でどうかもう一度再確認していただいたうえでですね。その事実を、もはや譲る必要のない大前提と踏まえて頂いたうえで、水それ自体に、私どもが従来のようにシステムを組み込もうとするのではなくその、水以外のうつわ、といったものに対して、水が水であることの意味を今まさにここで外側からあたえてあげるような、そういった在り方、としてですね。そこはもう我々のすべてを賭けて、自信に満ち溢れた誇り高い思いを胸にですね。それを携えて堂々と設計してあげればよいのだと、そういった、これは現時点ではなかなかもちろんイメージしていただくことが難しいんだというのは重々承知の上で今日はこうしてお話させて頂いてる訳でございまして、お怒りごもっともというか、はい。大変重く責任を感じてはおりますし、こうしてお呼び頂いたご恩に報いるという事のためにもね、あ、はい。そうです。これは私、もちろん本日わたくし背水の陣でお伺いした訳なんですええもちろんですはいもちろん結構なんです。今日は厳しいお言葉ありがたく頂戴もいたしますし侮蔑ですとかね。そういったまなざしも嘲笑もすべていただく覚悟でここにこうしてお邪魔している訳でしてそれはもう充分にはい、理解はしておりまして、はい、ぜんぜんかまいません。ですから荒唐無稽なね。そういった物語として受け取っていただいてぜんぜんかまわないんです。お気づきかわかりませんけれどもすでにそれだけで私充分幸せなんですけれども。でもはやここまでくるとですね。はい。もはや水。はい。その水に対しての、働きかけ、といった内容であるにもかかわらず、この私が、当の水それ自体について、もうそれをそのように意識することすら、必要なくなってしまうんです。はい。あと残り最後までお話いたしますね。水です。水が、ですね。…水とは、うつわによって水たり得るのだということを、実践的に示してあげるのだ、という事なんですけれども。はい。いや、というか、すでに水とは、このうつわの、うつわではないところの、このことという風にしか、もはやその我々、私たちにとっては、はい私にとってはですね。それがそのようにしか感じられなくなってしまっているという、そういう私たちをいやはい私自身を発見してしまうような。実際のところ、水など、目の前に存在しないじゃないか、と。そういったような事がですね。あ、はい。時間来ました。というかちょっとオーバーしてしまってはい。申し訳ございませんでした。会議室予約のですね次の方もう来ちゃいましたね。はい。もう我々このあたりで失礼させて頂きますので、あ、はい今日はどうも本当にありがとうございました、あ、すいません名刺交換だけよろしいですか、あ、はいお忙しいところ申し訳ございませんでした私坂中と申します本日は誠にありがとうございました。これに懲りずまた今後ともぜひお付き合い頂ければ