自販機


飲み会ばっかりで、さすがに朝起きてからうんざりした気分になる。先週も今週もずーっとだ。飲むことを想像すると胸が踊るが、実際飲んでるときは全然美味くない。いや美味くないとは言わないが、大して楽しんではいない。でもじゃあもう行かないか?と言われたら、いいえと言って、やっぱり行くのだが。でも昨日とは違う店に行きたい。できればあそこかあそこに行きたい。そして、さっき見たら財布の中が見事に空だったのだが、キレイに支払ったのだろうか?それとも有り金全部出してしまったのだろうか?あんまりおぼえてない。というか、昨日の朝銀行でおろしたばっかりじゃなかったっけ?でもまあどうでもいいや。ってか今日もか。


朝起きて、新聞を取りに行って、喉が渇いたので、道路の向かいの自販機まで行って、百円を入れてキリンレモンのボタンを押す。ボタンが汚れてざらざらしていて、思わず押した指を見る。ゴトンと缶が落ちて、小銭が何枚か返却されるときの、プラスティックを打ち鳴らすような軽くていやらしい感じの音が連続で鳴り響く。錆びと汚れでおそろしく汚い商品取り出し口から水滴をびっしりと付けた缶を取り出す。缶は冷たくて重くて、持った手が濡れる。曇り空。秋の気配。あちこちに、ばらばらになって錯乱しているセミの羽根と身体を踏んづけて蹴散らして部屋に戻る。