終わりのとき


今日ははっきりと外が涼しい。歩くと体の前面にあたる風が冷たい。半袖で歩いていて、やや肌寒いと思っている自分をさらに新鮮な感じに感じ直す。


小説を読み終わるときも、映画の終わりでも、あ、終わった!といつも思う。それはいつも軽くショックである。音楽だと例えばアルバム一枚聴き終えても、あまりそういう感じはしないが。本なんかだと、物語が終局へ向かいつつあって、かつ残りのページ数がどんどん少なくなるのはわかっているので、これはもうまもなく終わる、というのは頭の中でしっかりとわかっているはずなのに、それでも実際に最後の行に辿り着いたときは、常に例外なく「え!?」というようなショックがある。「あ!終わった」みたいな感じ。そう思わない本もあるが、そう思う本の方が多い。あれってなぜだろうか。物語の意外さとか感動とか、そういう驚きではなくて、終わってしまうことそのものの驚きというか。今まで動いていたものが停止してしまったという事実への驚きというか。何かが死ぬ瞬間を目の当たりにした驚き。という感じに近いかもしれない。