衣類


 九段下の昭和館靖国神社内の遊就館をみた。思ってたよりつまらなかった。まあ面白いとかつまらないとかいうような場所ではないのだが。まあ、一度見てみたいと思ってはいたので、行くのは行ったということで。さーっと見るだけで終わった。しかし靖国神社の大鳥居はいつ見てもものすごい。でかすぎる。

 なぜか衣類は、展示物されてるものをまじまじと見てしまう。軍服とか正装衣装だと装飾が強くてあまり面白くないが、庶民の着ていた外套などはやはりその時代の空気がしっかりと残っているような幻影が見える気がする。空気が残っているというより、それを着ていることで凌げる熱さや寒さ、身体を覆うという機能のあらわれから、今の自分と直接つながる手がかりめいたものを感じているのかもしれない。あるいは襟元とか袖口とか、そういう部分から感じられる何か。身体ではないけど、身体としか思えないようなある種の気配。襟のかたちや、着物の合わせや、紐の結び目に、なぜ人を感じるのか。その形状や生地の感触を見ているとき、人固有の表情を見たのと同じ感じを受ける。

 それにしても、当時の服は国民服にしても将校用コートにしても、思ったよりもしっかりした縫製でちゃんとした服に見えたのは意外だった。もっと粗末なものかと思っていたのだが。まあ、展示されてるものは再現物で、実際にはそんな高品質なものは少なかったのかもしれないが。