電車が鉄橋に差し掛かり、線路をわたる音が大きく車内に響き渡る。強い日差しが鉄骨に遮られて、光と影をぱらぱらとコマ送りにする。吊革に掴まって、窓の外を見ている。川面が広がる。視界いっぱいに、巨大な和紙をいっぱいに広げたような。川の肌理がはっきり見える。遠くは太陽の光で真っ白に吹っ飛んでいる。目が壊れる。足元を見て、ベージュ色のコートと靴がぶつからないように立ち位置を変える。目だけがきょろきょろと動く。視点が自由過ぎる。