午前中はガス栓の点検に来るというので家で待っていたが、なかなか来なくて、結局来たのは午後一時頃で、しかも五分で終わった。

それから出かけた。銀座で松浦寿夫展を観て、これはすごく良かった。こうして、絵にぐっと入り込んでしばらく帰ってこれなくなる感じがひさしぶりである。溺れるような思いで会場内を歩き回った。そのあと、東京駅まで歩く。途中でビールを飲む。

丸善で本を買った。丸善にはかなり長時間居たらしく、店を出たらすでに日が暮れていた。

家に帰って、食事していたら電話がかかってきて、いきなり翌日が休日出勤になってしまった。こういうのは久しぶり。がっかりというよりも、なぜかかえって、妙に新鮮な感じだ。

面白い事に、その直後、別の友人たちから、今度どこかの週末で、久しぶりにまた絵を描く会をやろうという話がメールで来る。

こちらが明日休出決定したのを見て出してきたみたいなタイミングだが、当然ながらそうではなく単なる偶然である。返事するとまた再返事が来て、しばらく電話が振動し続けている。お互いに無関係なまま、調整と約束が速度を上げて走る。

黒沢清「贖罪」を4話まで見てから寝る。4時間も見ていたのかと我ながら驚く。

日曜の朝。いつものように通勤する。素晴らしく空いた電車。いつもこうなら最高だが。

「アフリカの印象」ついに読み終わる。終わってみれば、これはなかなか面白く、ちょっとこういうのは他にないだろうという意味でも面白い体験だった。そしてこの本は、話の構成上、どうしてもまた最初から読み返したくなるというのが困ると言えば困るところ。

しかし、長い旅であった。長い物語の登場人物は、しばらく忘れられない人々になるし、さらに時間が経って細かいことを忘れてしまっても、その人を忘れてしまうことはまずない。

仕事をする。ほとんど人のいない広いオフィス。電話もほとんど鳴らない。時間がいつもより早く過ぎていく。メッセージを取り消す。最新バージョンをセットする。

帰りに横浜の酒屋に寄ってワインをみる。みればみるほど、どれを買えばいいのかわからない。結局、前にも飲んだことのあるソアヴェにする。昔は苦手だった「さっぱりとしたさわやかな酸味」みたいなのが、今はかなり好きになっていて、つまり今の自分がどういうのを好きなのかがはっきりしなくなってきている。

帰宅して、黒沢清「贖罪」最終話を観る。

自分がほとんど真っ黒に塗りつぶされてしまうくらいの、強い光を浴びて、そのなかでうなだれている。光に寄りかかるか、あるいは、添い寝をするように、土や緑に寄りかかる。そして、なかなか、登場人物である女性たちの、ふいにあらわれる、なまめかしさが凄かった。荒涼としているのに匂いたつような生々しさ。

そしていま、超眠くてやばい。