若い子達に誘われたので、仕事の帰りに浜松町で降りて、個人的にはまったく関心も興味もないような催事をやってる会場で待ち合わせた。そこでチケットを買ったら、このあと、とんでもない長蛇の列の最後尾に並んで、ひたすら順番を待たなければいけないということをその場で知って、いきなりうんざりして、来たことを激しく後悔して、よっぽどこの場で、俺並ぶのだけはカンベン、とか、ごめん急用ができた、とか言って、とっとと帰ろうかとも思ったのだが、いまさらそれも雰囲気悪くするし、誘ってくれた子にも悪いので、まあ今日は我慢だと思って、顔はにこやかにして、みんなと一緒に素直に並んでたら、そんな自分を嘲笑うかのように、しばらくすると雷鳴が鳴り響き豪雨に襲われた。想像を絶する強烈な雨脚で、それが延々、三十分以上も続いた。傘を持っていてもずぶ濡れ。傘を持ってない人の姿はもう、目も当てられないありさま。女性なんか、全身ずぶぬれの、裸の上に半透明の布を纏ったみたいなことになっていて、この後どうするの?っていうような惨状を呈しており、ほんとうに、あれなんで今、俺はこんな場所いるのろう?とマジメに自分自身に問いただしたくなるような、つくづく、ろくでもないことになってしまったのだが、さすがにここまで来ると、まあわりとどうでもいい気分で開き直っていて、それに、人とわいわい喋ってるぶんには、まあそれなりに適当な気分で時間も過ぎるので、それにしても見渡すと、右も左もじつに若者ばかりで、学生とか社会人何年目みたいな、やっぱこの手の催しは、完全に若者の世界なんだなあと思った。ぜんぜんおっさんを見かけないような、最近こういう場自体がかなり珍しく思って、ちょっと面白かった。そしてなんというか、みんな、とても大人しく、整然としていて、バカ騒ぎしている人も見かけない。すごい雨で怒ってる人とか、イラついてる人とかもいなそう。少なくとも、こういう場に来るんだから、行列するとか、黙って待つとか、そういう行為自体に抵抗はないのか、あるいは、行列してでも俺はっていう熱い思いがあるのか。ゴミとかもそのへんに捨ててないし、マナーも良いし、へらへら周囲に甘えた感じとか、調子に乗ってる感じも、ほとんどない。華やかさも色気もない。静かな集中力だけが、豪雨の中でも消えずに燻っている。みんな、地味で生真面目に、いまここで為すべきことをする、それを目的として、それだけのために、黙々としてここにいる感じ。つけ麺に、ここまで夢中になれるものか。