結局十一時過ぎまで僕を入れて九人残っていた。夜中の三時から雪が降るとわかっているのに、このまま飲み続けたいと思う人はさすがにあまりいなくて、それでもたぶん一人か二人は朝まで飲みたいと思っていたのかもしれないが、それはいつも慢性的に淋しがり屋過ぎる人だが、その時点でかなり酔って眠る寸前で、したがって抵抗勢力はほぼ無く、あっけなくお開きになって、その日のうちの帰宅が可能になって嬉しい。帰りの山手線の新橋あたりで異常に混んできて、車輌の中にぎっしりと酔っ払いの中年ばかりはしゃいだ声で、幼稚園みたいにみんな大騒ぎする。大声で他人の向こう側の相手を呼ぶ声。掴む手。外套の合成樹脂同士がこすれ合う音と声と息と体臭が混ざり合って、何か猛烈な、空間全部がぎっしりとした感じの入れ物、バターの入った箱みたいなものになって、ほかほかとして線路の上を走っていて、もうこれは馬鹿電車ということで、このまま電車ごと海に落ちたかった。