山口博史「おれのサーキット」。電子貸本Renat!というサイトでサンプルだけ流し読みする。これは今から三十年以上前の、僕が小学生のとき、かなり熱狂して読んだ漫画。熱狂というか、ポケバイのレースがテーマなのにむしろ逆作用的、子供でも現実を見ろ的世の中は厳しい的な意味での糞リアリズム系の漫画だったので、覚醒という方が適切かもしれない。今読んでもそこそこ読み応えがあると思うけど、しかしなぜこれは、こうだったのだろうか…。子供のうちから、なんでこんなに、どろっと現実的な手触りが良いと思っていたのか…。"日本サンライズ"的な嗜好に、無意識にやられてしまっていたのだろうか。


その後、打って変わって荒唐無稽な思い出として、二十代後半に熱狂した漫画を。一時間ばかりyahooブックストアで能條純一月下の棋士」を立ち読み。この漫画にも超・ハマッた。まだサラリーマンになる前のこと。中盤のクライマックスともいえる、氷室と滝川との一騎打ちは秋葉原にある場末の将棋道場みたいな場所で行われる。…この、まさにこの漫画の舞台となっている場所、おそらく作者が取材のために写真に撮ったりもしたであろう周辺地域に、十何年後の自分が、のこのこ勤め人として、今もたまにふらふらしているのだから面白い。しかも、仕事でもなく、勿論将棋を挿すでもなく、単に飲み屋をたむろしているだけなのだが、このあたりは秋葉原界隈で唯一いいところなのです。