雨が朝からずっと、夜になってもたいへんよく降っている。今もまだ降っている。窓を開けていると、ラジオのノイズみたいな、さーーっという音が聴こえてくる。アスファルトが雨を受け止め続けている音である。こういう天気だと電車の中も駅前もぐちゃぐちゃで、でもどの店も全部満席で、駅の地下街なんかには人が溢れていて、こっちはもう歩いてるだけでくたくたになってしまうが、でも雨の中を歩くの自体は不思議と高揚する。靴が濡れて、裾が濡れて、鞄が濡れて、ろくなことがないのだが、こうして身体の表面が容赦なく濡れてしまいながらも歩いているのが、それはそれで前向きな気持ちにさえなれるような部分もある。それに風が涼しかったし。これが終わったら、いよいよ夏かと思うと、そっちの方が嫌になってくる。