朝方は氷点下だったとのこと。たしかに、歩いているときに、これは今期でもっとも寒いかも、と思った。とくに下半身。ズボンの内側の、膝から上あたりが、冷房の空気が直接あたっているかのように冷たい。こりゃ寒いわ、と思って歩いていると、目の前を自転車で横切った女子高生の異常に短いスカートから突き出た白い素足。狂気の沙汰、あれは、寒さというものを、感じていないのだろうか?


電車の中も寒い。座席の下から猛烈に温風が出ているのはわかるけれども、一駅ごとにドアから冷気が入ってきて、ほのかな暖気など一瞬にして蹴散らし、まるで炎が嘗めるかのように、ほんの十数秒かそこらの停車時間内のうちに、車内の中程に至るまで迅速かつ丹念に冷却していく。顔や首元や胸元やわき腹のあたりや股間のあたりや足元のへんに、冷気が水の流れの踊るように駆け抜けていく。アイスコーヒーにミルクが混ざり合っていくときの、あのまだらになって渦になってもやもやとしながら混ざり合っていくときのような動きに近い。あれで、かき混ぜきったときに、温いカフェオレの色になるのではなく、冷たくて真っ白なミルクだけになってしまうようなものだ。