踊り子


今日も良かった。何が良いのかもはやよくわからないのだが、とにかく良かった。疲れ方が、すごくいいのだ。ああ!疲れている!と思いながら、三十分ずっと休まず続ける。それが、いい。あまり疲れないまま、最後まで行ってしまったりとか、途中でやむなく何度か立ち止まったりすると、ぼんやりと不満に感じる。ただ、単純に最後まで進んで疲れるのが、一番良い。終わったら、さっさと荷物を持って移動して、更衣室でひっそりと着替えて、誰とも目を合わせることなく、そっとお暇する。コートの襟を掴んで、伏し目がちに、夜風吹く雑踏を足早に駅へと急ぐ。この人が、まさかさっきまで、あれほどの姿で四肢を振り回していただなんて、誰であっても、到底夢にも思うまい。