電話認証


女性の声でプッシュキーに自動応答する音声ガイドにしたがい、肩に受話器を挟んで電話を操作した。音声が途切れて呼び出し音が鳴ったあと、別の声の女性が話し始めた。自動音声の続きかそうでないのか一瞬わからなくて、しばらく黙っていた。やや沈黙の後、向こうが困ってるような様子が感じ取れたので「すいません。認証をしたいのですが…」と話した。話す自分の声が、思ったよりもぼそぼそと歯切れが悪かった。先方は「はい、かしこまりました。」と応えた。人間だった。人間のオペレーターとやり取りするとは思ってなかった。画面にインストールIDが表示されてるかを聞かれて、表示されてない、どのように表示させるのかわからない、と応えた。方法を教わり、現れた50文字以上もある長い番号を口頭で伝えた。この製品はどのような形態でのご購入でしょうか、と聞かれて、形態はわかりませんと応えた。どのようにご購入されたかわかりませんか。と聞かれて、購入は私じゃなくて会社なんです。管轄部署の管理下なので、購入形態とか、ちょっとわからないんですが、と答えた。ほんとうは調べればわかることなのだが、面倒くさかったのでそう答えた。また少し間が空いた後、ではとりあえずこちらで確認して、再度電話しましょうか、と言うと、あ、それではこのあと、もう一度お電話いただいたら、番号の1、2と進んで、そのまま自動音声にしたがってインストールIDを入力してください。運がよければ、そのまま確認IDが表示されますが、そうでなければ、またオペレーターにつながります。ひとまず、その方法でお試しいただけますか。と案内されたので、はい。わかりました。1、2ですね。と言って、どうもありがとうございました。と言って終話した。運が良ければ、というのは、正規製品なら、という事だろうか?と思いながら、再度電話をかけて、1、2と進んだ。インストールIDを入力してしばらく待つと、確認IDとして6桁が8つ。合計48桁の数字が発行された。一字ずつ慎重に入力して登録ボタンを押したらすぐ、認証に成功しましたと表示された。自動応答が、楽でいいと思った。