先日、テレビで安藤忠雄のインタビューが放映されていた。DVDが再生されるまでのほんのちょっとの間だけ、それが映ったのを見ただけだが、女性インタビュアーに応じて、ずいぶん楽しげに饒舌に語っていた。あ、この人は長生きするなあ、と思った。女性を前に、それなりに上気して、冗談も交えつつ、和やかに楽しい気持ちで喋る。男性が女性を前にして心が高揚したり、楽しい気分になったりする。それはたぶん、生きようとしている、そういうことだ。この間まで入院していた父も、看護師や調査員の女性の前では、ずいぶん楽しげに話をしていた。あの人も、簡単には死なないのか。生きてて楽しいことはある。ただ目の前の女性と話すだけでも、それはたしかな喜びである。
