夜から朝


バスの出発まであと四時間ほど。御徒町〜湯島界隈を三軒ほど渡り歩き、アルコールを体内に行き渡らせてバス乗り場へ。発車後、すぐに眠った。


気づいたら名古屋だった。しかし眠い。アルコールパワーで眠っても、あまり眠ったことにならないのかしら。まあいいや、しょうがない。下車して、外はまだ真っ暗の名古屋を駅まで歩く。この暗さ。この寂寞の感じ、何もかも置いてきてしまった感じ、この感じをなぜいつもとてもなつかしく愛おしいものと思うのか。いつまでも夜のままでいいとさえ思う。駅に近づくにつれて、早朝の雰囲気が濃くなり、人の行き交いが目に付きはじめて、ファストフード店がほぼ満席に近いのが見えて、改札口の周りも人がうごめいていて、結局は昨日と今日がつながっていることになる。


とりあえずJR線の数駅先にある24時間の風呂屋へ行く。一時間ばかり居た後、元来た路線で名古屋まで戻るときはすでに朝の8時頃で、電車内は通勤客でいっぱい。金曜日の朝が、始まっている。名古屋に生きる名古屋の勤め人たち。周囲の一人一人を、思わずしげしげと観察してしまう。外国人になったような錯覚を頭の中で反芻させながら。