施設

オフィスを見渡すと、ほとんど全員がマスクで顔を覆っていて、あちこちからゲホゲホと咳き込む音やくしゃみを連発する音が聴こえてきて、空調のぼわーっと効いた白っぽいフロア全体がまったく健やかではない雰囲気である。ちょっと気を許せば、自分もすぐに体調崩しそうな環境ではあるが、いや、何とかなる、きっと逃げ延びることができる、どうにか生き残ることができる、そのはず、あと少し、との思いで、何かから身構えるように俯いてしばらくじっとしている。