朝の路面は場所によっては氷上のようで、危険度高い。


痛み。である。切り傷。刃物。その質感と味わい。表面の冷たさと、線に圧縮された熱さ。それが皮膚を切ること。その痛みの独特さ。切れた皮膚の痛みだ。まるで鉄のような、鉄の痛みというか、鉄が感じる痛みというか、ざらついて、冷たくて、しかし凝固せず、冷たいけれども炎のように揺らめき動く痛み。腹が痛いのとも、頭が痛いのとも、腰が痛いのともまるで違う。まったく独自な、他に類を見ないこの苦痛。左の指に、まるでLEDが静かにずっと点灯し続けているかのような、いつまでも意識から消えることなく常駐し続けている痛み。


絆創膏をしっかりと巻きつけてある。それを剥がすと、指先全体が紡錘のかたちに変形していて、水分を含んで皺くちゃになって表面は白濁して、出血はまだかすかに続いており爪の隙間に凝固して付着しており、全体的にひどく汚れていて、壊れた古い指、という感じだ。


しかし少しずつ痛みが薄れてきて、治癒が、これでも進行しているのか。