西高東低


白いサギ、もうどこかへ行ってしまったのかしら、近くの公園に居ることが多いので、ちょっと見にいってみようと出掛ける。晴天だが寒くて風が強い。低きに風流れ込むの感大いにありだ。気圧計の目盛りは左を向いている。サギは居なかった。また別のどこかへ旅立ったのか。また来年までかな。それまで元気でね、かな。でもそもそも、去年や今年や来年のサギたちが、それぞれ同一の個体であるのか、我々にはそれを確かめるすべもないのだ。お前、ほんとうに去年と同じやつか?サギにそう聞いてもこたえてはくれない。答えることに意味などないでしょ?いや、じゃあわかりました、私のか細いこの足で、この場で仮に百歩譲って、貴方のその問いに答えたとしましょう。それで仮に、今と以前の、この私の同一性が、私の言葉によって確かめられたとして、それが同じか違うか、そこにさほど大きな意味の違いがあるんですか?・・・そう問い返されそうな目で見つめられるくらいが、関の山だ。


近くのスーパーで食材を見ていて、たらの芽、ふきのとうなど確認するうちに、今日は天ぷらをしようという気分が盛り上がってくる。夕方からはじめる。立ち消え安全装置が強烈に効くガスコンロで天ぷらはかなり大変。ガス台が二つあるので、火が消えないように高温の油が入ったなべの位置を頻繁に変更して、こんなことやってたら却って危ない。