干物


波切産の干物は美味しい。美味しいのだが、一般的な干物と較べて相当塩気が強いように思う。干物に限らず、かつて漁師町として活気があった頃からずっとそうだろうが、かの地方においては、すべての料理において塩分含有量過大な印象がある。それにしてもうるめいわしの干物など、子供の頃はまったく好きではなく、苦味と塩気しか感じられなかったものだが、今は美味しいと思うのだ、しかし苦味と塩気ほぼそれだけという印象は昔のままである。つまり苦味と塩気そのものを好きになってしまったのだ。干物はかなり保存がきくが、あまりにも放っておけば当然傷んでくる。傷みかけのはじめの方だと、少し表面にかすかな粉をふくように見えるものが出る。正直このくらいの状態で食べるときにいちばん美味しいように思うが当然ながら危険でもある。