エコー・イン・ザ・キャニオン

Amazon Primeで、アンドリュー・スレイター「エコー・イン・ザ・キャニオン」を観た。60年代ウェスト・コースト・ロックの聖地でもあるローレルキャニオンに拠点を構え、相互に交流しつつ活動していたミュージシャンらへのインタビューと当時の曲のライブ演奏を主としたドキュメンタリー。個人的な趣味のかなりストライクゾーンなはずだが、しかし期待したほど面白くはなかった。ノスタルジー全開のおじいさんしか出てこない。老人ばかりで気が滅入る。とはいえまあ、それは仕方がないことだが、面白くなさはいかんともしがたい。ロジャー・マッギン、スティーブン・スティルス、いずれも素晴らしいミュージシャンでありギタリストだが、しかし金持ちの老人ってのは、醜いものだなあ…とも思う。リンゴ・スターとか、ほとんど終わってるくらいイヤラしい。本作のホスト役をつとめるボブ・ディランの息子も、なまじハンサムなだけにかえって胡散臭いというか安っぽい三文役者な感じで、思わず目をそむけたくなるようなダサさがある。映画の最後のエンドクレジットの向こうでひたすら一人ギターを弾いてる爺ニール・ヤング(たぶん)だけが、見れて良かった唯一のシーンか。あとブライアン・ウィルソンの超メンドくさそうな爺気質もちょっと良かった。ベックとか、こんな懐メロ企画に付き合うのか…と意外な感じがした。バッファロー・スプリングフィールドももちろんだが、バーズの曲はほんとうにどれも、素晴らしいものばかりだとの思いをあらたにする。それは間違いない。本作ができるきっかけとなったらしい、1969年のジャック・デュミの映画「モデル・ショップ」は、ちょっとみてみたい。