配慮

オンラインで商品説明を受けていた。モニターに大写しになったその女性は、艶のある肌にくっきりとした目鼻立ちで、長い髪をゆったりと揺さぶって、笑顔も喋り方もきちんと仕上げられていて、声も話し方の間合いも、愛想笑いや応答の間も、おおむねすばらしかったのだが、時折ネットワークの調子が悪くなると、映像全体がモザイク状に砕けて、その笑顔がほとんどケロイド状に溶解し、声も野太くてノイジーな汚い波形へと変貌する。ただ相手がデジタル・モザイク状に砕けて非統御的表示であることを、なんとなく見て見ぬふりしてあげるのも、モラルというかマナーかもしれない。ネットワーク不調で外見が崩れることへの配慮や気遣いも、今後は必要かもしれない。