森の中


夢の中で、目的地まで、歩いて三十分もかかった。途中、海が見えて、風力発電の大きな風車が回ってるのが見えて、だから滞空時間も長めに、景色を見ながら行ったり来たりした。このあたりは常に風が強くて、雨が降ると、いつもほとんど暴風雨みたいな事になるようで、少し油断したらたちまち木の葉のようにくるくると空気の渦に吸い込まれた。湿った地面の上に落ちてズボンが泥水でひどく汚れた。枝葉が風にそよいでいるのではなく、もっと根底からの熱をもった力を足元に感じて、あ、地震だ。と思った。揺れは強く長く続き、はじめて聞く音がした。地震と雷と竜巻の手厚い歓迎を受けて、いよいよ僕もこの場所に居られる資格を得たのかもしれないと思った。