中央通りの朝


ちりがみに色を着けて丸めたようなアジサイがぼかり、ぼかり、と咲いている。ひとなつっこいので、歩いていると、アジサイの方でをぐっと顔を近づけてこちらの顔に近づいてきてくんくんと匂いを嗅ぎに来て鬱陶しいので、咲いてる場所から少し離れて歩かなければいけない。アジサイとかアヤメとかが咲いている細い道を抜けるとクルマどおりの激しい大通りに出る。道の反対側に渡ってしまいたいので左右を見てクルマがいなければ小走りに渡る。今朝は危うく車に轢かれそうになった。ブー、ブーブー、ブーーっとクラクションを鳴らされた。見ると運転席にはラブラドールレトリバーがいた。よくよく見たが他に同乗者もいなかったのであいつが運転していたようだ。今のクルマのステアリングなら犬でも軽快に操作できるのだ。クラクションを鳴らしたのもあいつだろうか。犬の癖に。あんなに苛立たしいような態度でブザーのボタンをバンバン叩けるものだろうか。