日当たりのよい広場にいた。正午に近い時刻だと思われる。薄暗い店内の、窓際の端の席に座って、あたりを見回した。昼間の明るさが、ブラインド越しに入り込んできてテーブルの上をまだら模様にしている。カウンターの奥から湯気が立ち昇っている。コーヒーだけではなく食事もできる店らしい。メニューを見ると、こうだ。

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セッピエ・アッラ・グリーニャ
ムール・ア・ラ・マリニエール
レ・ズュイートル
ユイートル・オー・シャンパーニュ
ビフテック
フォンデュー・ブールギニョンヌ
トリップ・ア・ラ・モード・ドゥ・カン
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さっきまで考えていた事が消えた。それまで自分の膝も見えないほどの暗闇だったのに、いきなり明るくなった。仕事は、最初から決まったことをやるのだということを痛感したものだ。それを思い出した。あと、一般論というか、個人的な見解ではあるが、男性とくらべると女性は孤独だと、そんなことも思った。戦争状態になったとき、戦争状態とはつまり、今、本気出して切り抜けないといけないような非常時な情況のとき。ということだが、そういうとき、テンパッっていても常にそんな自分が俯瞰したときにどうか?を意識していて、共闘、共有、連絡できる相手がいるかを気にしているタイプがS君で、逆にテンパッたらもう、後にひけない感じになって、ある種の諦観というか、落ち着きの風格さえ漂わせてしまって、良くも悪くも個人としては完成してしまって、だからそのあとは俯瞰視点もないし、共闘も共有もありえなくなるタイプがYさんだなと思った。でも戦争で勝つのはS君なんだろうな。Yさんは、勝つ気持ちがそれほどないのだから。


でも僕は、この広場にはあとでもう一度来るだろうな。夜になったら。明日か、もっと先になるかもしれないけど。