行進


朝の八時半。空が青い。観覧車、水上建造物と化した帆船、三棟連なったビル、その倍ほども高く見える手前の高層ビル、それらの外壁の白さ。空とぶつかり合うようにくっきりと浮き上がっていて、ビル屋上から立ち上る湯気がひときわ白くゆっくりと空の青さの中に溶け込むように動いている。会社に向かう人達の群れに混じって、無言で黙々と歩く。たくさんの人が、ほぼ同じ速度で、お互いにお互いの靴音をじっと聴き合っている。