RNG寿司とマーメイドそしてパクチー

有給休暇を取得したが、酷い雨の一日。それでも昼から酒をのむために、すし屋のカウンターに座った。雨が土砂降りのせいか、自分以外に客はいない。開けっ放しのドアの外を見てると、雨に叩かれた路面の匂いが、ここまで漂ってくるようだ。雨を吸って全身がしっとりと冷たく冷えたようだったけど、かまわずビールを注文し、つまみを切ってもらう。

目の前の二人の若い職人は白い割烹着を着ているにも関わらず雰囲気が完全に「Random Noise Generator」だった。

冷酒にきりかえて、そろそろ握ってもらおうかと考えていたそのとき、天井のスピーカーから、突如として松田聖子小麦色のマーメイド」が流れた。何十年ぶりに聴いたのかわからないけど、あまりのことに息を呑んだ。なんという危険なまでに酩酊的な、サイケデリアな名曲だろうと思った。

帰宅後、夕食の支度にとりかかる。個人的に苦手なパクチーを使った料理にあえて挑戦した。ヨーグルトに漬け込んだラム肉、それにトマトやタマネギなどの野菜、細かく刻んだパクチーの茎、カレー粉その他の香辛料を加えて煮込む。味を調えて、仕上げにパクチーとミントの葉をくわえる。

出来たものを食したけど、なんか美味しくない。ラムの香りとコクが全体に行き渡っていて、そこにパクチーの爽やかさがきれいに調和しているところがポイントだと思うのだが、そういうことではなくそれ以前の段階で、どうも上手くいってない。ひと味かふた味足りないというか、ぜんたいが絡み合ってない。料理として、きちんと仕上がってないような感じなのだ。

ちなみに妻はラムが苦手、自分はパクチーが苦手なので、妻はラムが気になるけどパクチーが強いとは思わないらしく、僕はかなりパクチーが気になるのだがラム感はそうでもない。

それでも作ってみた、そして誰もが、幸せにはなれなかった。