嵐が丘


 今読んでるのは、エミリー・ブロンテ嵐が丘」です。まったく予備知識なしに読み始めていて、そろそろ上巻が終わるくらい。エレンの語りに入ってから今までずっと、なぜか谷崎の歴史小説を思い浮かべてしまうような感じがある。どこがそうなのか聞かれてもうまく言えないが…。

 なんというか、不思議な禍々しさ、怪しさ、不気味さ、のようなものが沁みこんでいる感触を感じる。その小説自体の誕生にまつわる、何か異様な出来事が存在するのではないかと思われるような・・・。だって、そうでもなければどうしてこれほど変な小説が生まれるのか。変だと思いませんか?変でもないのかねえ。まあ、最初からずーっと変な感じだから、結局それは変なわけではなくて、それがこの小説の空気なのであり、変に思うほうが変なのかもしれないが…。

 それにしても、アメリカにしても、イギリスにしても、田舎の自然の広大でおそろしいこと。いや昔だったら日本でもきっと、そうであったろう。自然の森の中の鬱蒼とした感じ。それがもはや存在しない世界から、それらを読んでいるから、そういう人間にはもう、わからないものもあるのかもしれない。変な感じとしか感じられなくなっているような何かとか。