僕は勘違いしていた、というかそれまで考えもしなかったのだが、谷崎潤一郎は生年が1886年で「刺青」発表が1910年である。だからほとんど、デビューは漱石が現役でゴリゴリと仕事していた時期と同じである。そんなに、昔の作家なのか、と、今さらのように思った。なんとなく、もっと最近に近い作家だと思っていた。1965まで生きていたから、というのもあるかもしれないが、なにしろそんなに昔の作家とは、とても思えない感じがする。「細雪」が戦中の数年間を描いている作品で40年代に発表、は良いとしても「春琴抄」発表が30年代で、「蓼喰ふ虫」発表がそれより古くて20年代だとか、ちょっと混乱するというか、時系列的な実感が沸かない。
そもそも、芥川龍之介の方が、谷崎よりもデビューが遅いというのは、そんなの常識でしょ…という話なのだろうが、いまさらで恥ずかしながら、僕はあらためて、びっくりしてしまいました。1910年頃だと芥川はまだ高校生くらいなのだ。でも芥川なんて…いま読んでもどうなのか。面白いのか、、という感じではないか。というか半年か一年くらい前にたまたま「戯作三昧」を久々に読み返したのだが、これは1917年…。僕の中の勝手なイメージでは、やっぱり古い時代の作品という感じがしてしまうのだが、でも「戯作三昧」は好き。(熱血的で『漫勉』的というか・・)
まあ谷崎と芥川なら、ほぼ同時代的に仕事するわけだが。ちなみに、小林秀雄の「様々なる意匠」は1929年、太宰治なんてデビューは1935年なのね。そんなに最近なの??という感じである。ほとんど現代作家ではないかと思ってしまう…と思ってしまうあたり僕も何かが一部麻痺しているのかもしれないが、しかし1935年とは驚いた。単にその年月を言われただけだとあまりピンと来ないのだが、他との比較ではじめて驚かされる。
こんなこと、全部常識なのだし、僕ももちろんそれぞれの生年とかは一度や二度は見ているはずなのに、関係で考えたことが今まで一度もなかったのだから呆れる。やっぱり年表はエクセルで一度自分で作ってみるに限るな。いろいろわかる。