多摩蘭坂


国立市にある多摩蘭坂には行ったことがない。RCサクセションの「多摩蘭坂」という曲を知ったのは中学生のときで、その場所へ行ってみたいと思ったこともあったかもしれないが、行かなかった。この曲は昔は好きだったし今も嫌いということはないけど、さすがに昔のような気持ちで聴くことはない。アレンジも時代掛かっていてずいぶん大仰だ。


サビのところで弦楽がかぶさってくるのだが、これが夜中か明け方のような、あるいは雨が降っていて太陽の光がまるで差さない日中のような薄暗さのなか、黒く湿ったアスファルトと苔と雑草に覆われた鬱蒼とした場所のようなイメージを、昔は聴きながら勝手に思い浮かべていた。この曲に限らずこの時代のRCサクセションのレコードは変にボワボワっと篭ったような音で、それが不思議な密室感を醸し出してる。密室的と言うとマルチプレイヤー的なミュージシャンがスタジオで一人で作り上げたようなサウンドを指す場合が多いけど、このRCの楽曲群はまた別の感触での密室感で、というかリバーブのエフェクトがキツくて小さなお風呂場で鳴ってるような感じで、密室感というより湿度をともなった密閉感というか、あとは忌野清志郎の詩に、自閉感というか、できるだけ内側にひきこもりたいという、誰か特別な一人を除いて、その他全ての人間との関係を絶ちたいみたいな気分が、含有されているようで、余計にそう聴こえるのかもしれない。