写生大会は雨で、傘をさしながらの、単なる公園散歩会におわった。しかしこれはこれ良かった。雨の自然公園林を、ひたすら歩いたというのは、それはそれでなかなかではあった。しかし僕は、今日も出かけてから財布を忘れたことに気付き、以降、ただの愉快なサザエさん状態だったのには参った。財布を忘れると、ほんとうに、どうしようもない。人の金ですべてそれら一つながりの時間と空間を生きるのだ。これはイヤだ。でも結局、最後まで人の金を支えに最初から最後まで偉そうに振舞った。それは嘘だ。つつましかった。でも、つつましいことだけが美徳ではないのだ。ときと場合によっては、倣岸であることが人を救う、こともある。現実としてそれは、しばしばそうだ。だからたまにはぐっと舵をきって、しかし人の財布の中が気になるという、いやまっこと、金は天下の回りモノであり、カネなくしては人間どうにも格好がつかない。酒にも悪酔いするというものだ。というか、秋は身体に過酷で、色々な日常の些末な出来事に細かく影響しているようにも思うが。それにしてもせっかくパステルを買ったのに。曇天それ自体はきれいだったのに、もったいなかったけどなあ。