昔にどの程度、そういうお金が現実に存在したのかは知らないけど、おそらく今はもう「あぶく銭」というものが世の中からほぼ尽きたのではないかと想像する。「あぶく銭」は、かつてどこにあったのだろうか?それはお金持ち、あるいは成金、あるいは大してお金がないのに派手に使い散らす人たち。そういった人たちの財布やポケットからこぼれおちてくるお金のことなのだと思う。あるいは会社の予算内訳や会計に明記されない、あるいは別名義で、あるいは堂々と明記される支出金でもあったと思う。
そんなお金は今でも、どこかにはあるのだろうけど、それでも川が干上がるように、水量が激減するかのように、かつて何十トンも魚の獲れたある沿岸の水揚げ量が、近年まるで不漁になってしまったかのように、あぶく銭も、いつの間にか消えてしまったのだと思う。それによって、あぶく銭を食べて生きていかれるはずの人たちも、いつの間にか、皆死滅してしまった、あるいは息も絶え絶えでエラをパクパクと喘いでいる、ほとんど死に瀕した状態なのだと思う。それで良い、それが真っ当だと考える人もいるのはわかる。しかしそのことによる損失もまた計り知れないのだと、そんな想像をすることも、できなくはない。