Andy Stottのニューアルバムのジャケット写真の被写体は、モディリアニの彫刻である。この写真って、このジャケットのために撮影されたのだろうか、あるいは昔からある写真なのかしら。これ、思わず目をみはるような写真だと思う。カーテン越しに、ビル群が見える。ホテルかどこかの一室?あたかも、偶然に、この部屋を訪れたら、いきなりこの彫刻があって、自分が、いきなりこの物体と向かい合ってしまって、思わず息を呑んでいる瞬間のような、そんな錯覚をおぼえる。この、すーっと縦に引き伸ばされたようなフォルム。瓜実形というか、流線型というか、紡錘形というか、とにかくそのような、これほど単純なのに、これほど強いかたちがあるだろうか。かたち、というよりこれは、空間にめり込んでいるような、空気中に折り目が付いてしまっているみたいな、こういう普通では考えられないようなことになっている。でもこれこそが、美術的な形態の力なのだが。