Some Girls


「未明の闘争」ほとんどけじめなくだらしなく、女性らしきぼやっとした想像的存在のかたわらでくつろぎながら想像が動き回ってるような雰囲気が延々と続く。そもそも真夜中にアキちゃんが訪ねてくる時点でものすごく妙な気がするし、アキちゃん=篠島=幽霊説もありかとも思うが、続けて妻の紗織との初対面にシーンにおける紗織の苛立ち、さらに唐突な隣人三池さんの娘さんの登場があって、不倫の山本さんの話があらわれ、そして村中鳴海が出てきて、これら女性たちのこちらをまるで見ない勝手な行動と苛立ちの醸し出す佇まいがあって、その匂いだけが残るようで、なにしろ、すべて真夜中からはじまっていて、いったいこれらの女たちは別々の人間なのか、それとも何かがばらばらになってるだけなのか。なにしろひたすらズルズルな心地よさだ。小説の主人公というのは、女を登場させるためなら、ひたすらモテてもかまわないということだとも言えるし、いや、それは嫌だと、そのあたりにこだわってしまうと、泥リアリズムになって泥のようになるのだろう。


女がいっぱい出てくると、ストーンズの「Some Girls」を思い浮かべてしまう。でもこの曲の歌詞は、対訳で読んでみてさほど面白いものではない。僕が勝手に思っている「Some Girls」という曲の魅力と較べると数段劣っている。では僕が勝手に思っている「Some Girls」という曲とは何なのか?ということだが、さすがにそれは、音楽だし、しかも想像上のことなので、まったく説明不可能である。