女たち

ローリング・ストーンズ「Some Girls」(女たち)を、ものすごく久しぶりに、始めから終わりまで通して聴いた。とにかく、ものすごくうるさい音楽だと思った。こんなにやかましいレコードは、たぶん近年、まったく製造されてないのではと思うほどだ。このうるささの中心は何だろうか。まずミック・ジャガーがうるさい。うるさ過ぎると言っても過言ではない。こんなにうるさい人間が存在すること自体に、いまさら驚愕する。そして意外なことに、チャーリー・ワッツのドラムも相当うるさい。ほぼ同じパターンを単調にくりかえすだけなのだが、たいへんなやかましさをもって耳にべったりと残る感じがする。二本のギターはいずれも音が太くて独特のコーラス感エフェクトがかかっていて、ベースとともにおよそすき間というものがない。サウンドが全体的に「ばーー」っと出てくる感じで、だからとくにこの個所を聴くとかではなく、出てきたものすべてを一緒に聴くしかない。爆竹か花火を打ち鳴らし続けるようなリズムとギターをバックに、壊れて止まらなくなった拡声器のようにミック・ジャガーが大騒ぎを続けるのを、黙って聴くしかない。「ストーンズだなあ」と思わせる箇所って、どこにあるだろうかと思って聴いてると、意外にコーラスだったりする。このバンドらしいなと思う。3曲目の「Just My Imagination」はとても好きだ。あと「Some Girls」も。「Beast of Burden」は、昔よりは今の方が、好きになれたかもしれない。