We Will Meet Again(For Harry)


 今日も昨日と同じでかまわないじゃないか。なぜ同じじゃいけないのかい?昨日とか今日とか、そんな短いスパンでものを考えなくてもいいじゃないのって、それを前から言ってんの。だから、今日も休んでかまわないの。人間の本来として。あなたがしっかりしてるんだから、それはみんながわかってることじゃない。だからあなたがそうやってしっかり、みんなをまとめてさ。僕や彼女のぶんまでしっかりやってくれると信じて、ぼくらはこうして少しだけゆっくりできるわけじゃない。わかる?その構造ってものがさ。

 さっきこのレコードかけててさ。あー!これ名古屋駅近鉄の音楽!って大声出しちゃったのよ。このA面のこの曲。We Will Meet Again(For Harry)、これ名古屋から鵜方駅に行くときにかかる曲なの。私すごい懐かしくて、これ本当に泣きたくなる。子供の頃の、まだ家族一緒だった頃の、みんなで田舎に帰るときの、新幹線まで降りちゃって、もう全然遠くに来ちゃったときに流れる音楽。ああ、このままもう、遠くの田舎に行くんだと思う、そういう音楽。それがこの曲なのよ。ビル・エバンス。え?違いますか?ああ、そう、これじゃないか。名古屋の、そう。近鉄が出るときの音楽。あぁ、そうなの。これじゃないのね。あら、ほととうだ。全然違うわ。すいません間違えました。いやまあ、でも私の中ではこのA面のこの曲だって今だけは思ったんです。だったらそれでいいじゃない、ねー?そうでしょ。ねぇ?失礼しちゃうわ。頭きちゃうわ。