枯声


若干風邪気味だったところに、今日お酒を呑んだら、ものすごい声の枯れた、ほとんど発語未満のノイズみたいな音しか出ないような声になってしまい、これはこれでとても面白い。これで声帯が完全に自分ときれてしまった感じで、声を出すと身体の一部が不自然に負荷を受け、妙な抜け道を通って空気が洩れてきて、それに非同期のまま、意識から一秒くらい遅れた感じで、自分が喋ろうと思っていたことばの激しく劣化した、ニュアンスだけというか、面影だけみたいな音のまとまりが口からこぼれる。はっきりと、自分で自分の声を聴く状態がうまれる。何を喋ってもそうで、何を喋っても自分が他人のように喋るのを聴くような。