いい天気の土曜日。出掛けてすぐにコートを脱いで歩いた。よく歩いた一日だった。竹橋でベーコン展を観て、大手町で丸善を見て、神田でごはんを食べて、湯島から電車に乗って帰った。


フランシス・ベーコン。主な作品群は1040年代からのものだそうで、亡くなったのは92年で、自分が思っていたよりもずいぶん最近の作家だった。作家本人が、展示の際はガラスと金属の額縁で額装することを望んでいたというのをはじめて知った。作品の絵肌とか表面から、観る者をフィルタ一枚分遠ざけようとしたということ。ああ、そういう感覚なのかと、納得した。常設展示はいままでと大きく変わっていた。安井曽太郎「秋の城山」。凄いきれい(と妻が言っていた)。


キダイの香草焼きがおいしい。じっくり、時間をかけて、オーブンで焼いてあって、あれだけニンニクやハーブの香りを含むと、魚の身じゃなくてチキンのように感じられる。最近はほんとうに、何か、食いもののことというか、何を食うかばかり考えている。香りというものはすごく大事。


今日は昼過ぎまでやはりいい天気。と思ったら、午後から猛烈な風と砂塵。最近、妻がはまっている松本英子の漫画(謎のあの店、ウチのハナちゃん、荒呼吸)を読む。面白いし、そして、絵がうまい。ちゃんと伝える絵だなあ。旅行に行きたい。ある意味、外食も旅行みたいなもの。ちゃんと享楽しないといけません。我々にとってそれはすごく大事。


昨日(妻が)買った、Naoko Sakata Trioの「Flower Clouds」を聴く。Paul Bleyを思い起こすような、リリシズムと過激さの混交具合。でもある種の朴訥さというか、やさしさというか、あまり尖りすぎない、独特のニュアンスがあって、かなり気を許して音に寄り添いたくさせるような感じで、こういうの久々に聴いたなあと思いながら、今日は何度か繰り返し再生した。ついでにPaul Bleyも引っ張り出して聴いた(「Alone, Again」、「Open, to Love」)。懐かしい。十年、いやそれ以上、ぶりな気がする。

観るもの聴くもの、僕はあまり冴えなくて、妻の判断に負うところが多い週末。