雨が降ってもいいから、降るならむしろ、どんどん降れよ、と思いながら出かけた。日中は晴れていて、夕方になると同時に曇りはじめて、しだいにぽつぽつと顔にあたりだした。僕は、今日が誕生日で、ちなみに同じ誕生日の有名人としては、南野陽子筑紫哲也岸田劉生高田みづえ、など。ちなみに、ジェフ・ベックは明日(6/24)である。妻と同じ誕生日の有名人としては、ピート・ダウンゼント。あるいはホーチミン西田幾多郎、マルコムX、ポル・ポトなど。そんな両者が、お祝いに予約していた店で食事をする。体の不調ばかり訴えている人のほうが、むしろ長生きで、普段から何の問題もなく元気でいる人の方が、わりかし簡単にころっと死ぬのだ、みたいな、よくあるような話をする。店を出たら道が黒く濡れている。さっきまで降っていたらしい。程好いあんばいの帰路である。父が四十二歳になったときのことをおぼえている。ちょうど三十年前ということになる。父の実家は田舎なので、四十二の祝いということで、その手の祝い事を、けっこう盛大にやっていた。当時の僕は小学生だった。そのときの、襖を外して大広間のようにして机を並べて宴会の席みたいになっているところにいるのに飽きて、狭い部屋に逃げて、山積みになって埃をかぶっている本を読んだりして時間をつぶしていた。早いものでその子もあれから今日に至り、四十二歳を迎えたが、これだと、歴史はまったくくりかえしていないと言ってよい。