久しぶりに朝から秋葉原での業務。年に二日だけばたばたと出入りの日である。毎年この時期になるとこうして、朝の秋葉原の昭和通沿いを歩く。昔から職場拠点として台東区千代田区が長いので、昭和通沿いなんかを歩いているのは、ほとんど家の近所を歩いているのと変わらないような親しい感覚がある。天気いいじゃんと思いながら、本気でのんびりした気分で歩いている。昔と違って今はもう夜になっても別に面白いこともないとわかっているのだけど、まだそう思っていた頃の記憶が幽霊のように道の向こうから漂ってくるようにも思えてくる。夜よ来い、夜よ来い、と思う。やがて夕方になって、六時を過ぎて、ブルーに染まったような、まだ明るい空に、高速道路の高架のかたちが黒々と喰いこんで、車のボディに光の光沢が水の流れのように流れ始めるのを、結局は依然として会議室から見下ろしている。