食卓を挟む


去年まで昼食の時間を一緒に、互いに持参の弁当をつかいながらすごしていたSさんのことだが、もし、彼と僕が二人で、フレンチレストランに行くようなことがあったら、どんな時間を過ごすことになっただろうか。弁当は、お互いが勝手にそれを広げて、食べてるだけのもので、男二人だろうが誰だろうが、どこの誰にも、何も支障ないけれども、何年ものあいだ、我々は毎日、向かい合って飯を食ってきたのだ。そんな男二人が、ある日の夜、ディナーの食卓を挟んで、お互いにそれほど違和感なく、時を過ごしている。想像すると、なんとなく楽しそうな気がしてきた。でも、まあ、現実には、無いだろうな。