不器量


昔、と云ってもたしか、せいぜい4、5年前くらいだと思うが、その頃プレゼントされた観葉植物(ストレチア)が、最近ずいぶんばかでかく成長してしまって、成長は良いのだがどうも形状的に変なことになっていて、一つの鉢から数本ずつの茎と葉が二手に分かれて別々な方角を向きつつ斜め上に向かおうとするようなことになっていて、全体的には鉢から真横に近いくらいの、二つの方向へ、そのまま床に寝そべりたいのか?と思うくらいの反り方の、なんとも行儀の悪い格好になっていて、そのまま部屋に置いても邪魔だし可愛くも何ともないので、本日は手術を施すことにした。すなわち、植物自体を一旦鉢から出した上で、糸鋸で根元から縦に分断し、それぞれを別の鉢に植え替えて、以降は個別に育っていただくことにした。


植え替えはわりとスムーズに成功して、鉢が一個増えたけれども、それぞれ慎ましいボリューム感のストレチアがまっすぐに数本の茎と葉を伸ばしていて、見た目はずいぶん良い感じになった。というか、ほんとうにこの二つが、いままで一つの鉢の中で一つの生体だったのか、すでにちょっと信じられないくらいだった。


ウチは、ほかの観葉植物も、見た目はイマイチ良くなくて、今回のストレチアより背だけはずいぶん高くなってしまったパキラの鉢も、どうも全体的に不恰好というか、ひょろひょろして思いつきのようにばかばかと葉を付けているだけで、トータルバランス感の美的要素はまったく感じられない。ストレチアもそうだが、見られることが仕事であるはずの観葉植物として、もうずいぶん長く生きているくせに、どうしてこんな不器量に育ってしまうのかつくづく不思議だ。


でもそういえば昔、実家にいた犬も、不器量だったなあと思う。もう十年ほど前に死んでしまった犬だが、今でも、その不恰好さが目に浮かぶ。ビーグル犬なら、ふつうはかなり可愛いはずだが、ウチのやつだけは、どう見てもそうではなかった。なんとなく前述の観葉植物に近い雰囲気もある。ひょっとしたら、血のつながりというか、同類的というか、ある種の親戚だったんじゃなかろうか。ひょろっとしていて、全体的にバランス悪いというか、なんか、存在そのもののバランスが悪い感じ…。まだ、この世に存在している事そのものに、こなれていない感じと言うのか…。これほど見た目に恵まれないビーグル犬もいるのか、という感じだった。