マティーニ


久々にベルモットを買ったので、これで家でもマティーニを作れる。ステアするための専用の酒器があれば良いのだが、ないので、コーヒーサーバに氷を入れて代用する。マティーニは、ベルモットの割合に大量の逸話や歴史があって、そのあたりが面白味ということにもなっている。ドライ・マティーニを注文すると、店にもよるが、目の前で作ってくれるのを見ていると、ベルモットの瓶を数秒かけてゆっくりとミキシンググラスに対して傾けていき、最後一滴だけ液体が落ちるのを見届けるや否や、即座にボトルの傾きを戻す。そしてその後、まるで魔法をかけるかのように、レモンの皮を手にとって、グラスの周囲に、ふわっと香りを纏わせる。あれを見ていると、酒に金を払っているというより、なんだか占いとか祈祷に金を払っているような感覚に陥ったりもする。