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アメリカのサンフランシスコあたりのスタートアップ企業にスーツ着たビジネスマンなんか一切いません。あのへんのカフェで、スーツ着てWindowsのPC開いてたら、たぶん変人だと思われます。日本は全員スーツですね。なんでか?これは仮説ですけど、日本は狭くて、狭い中で人と人が会ってビジネスしてます。だからスーツなんです。アメリカは、ここがサンフランシスコで、ここが僕の生まれたノース・カロライナです。飛行機で八時間です。僕の父親はニューヨーク生まれですけど、ノース・カロライナから飛行機で三時間です。日本からサンフランシスコまで十時間くらいで、アメリカ国内の移動とあまり変わらないです。アメリカ広すぎるんです。だから人と人が会ってビジネスできないんです。営業なんかしてたらぜんぜんダメなんです。だからアメリカの超金持ちの社長たちは、皆スーツ着てないんです。営業して売って作って納品して終わりじゃなくて、体験させて終わりなく利用され続けることが重要なんです。みたいな話を聞く。


それと、最近これが良かったという話で、従量制自動車保険のMetromileというのを知る。
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1611/16/news034.html


僕は車に乗らないので自分自身が購入することは無いにせよ、如何にも今どきなビジネスだなと思った。従来の自動車保険だと、車種とか大体の走行距離で分けられたプランのうち最適やつに加入するのだろうが、Metromileの場合は車のエンジン部分に通信回線とGPSの付いた無償のデバイスを装着して走行距離分の従量課金が請求されるというもの。


しかも、ここがこのビジネスの「頭いい」ところなのだが、デバイスの付いてる車は走行中の速度や位置を逐一クラウドにアップし続けていて、そのデータを自分自身で、あとでスマホなどで確認することも可能で、そうなると保険会社としては、事故発生時にその車が時速何キロでどのような状態で事故ったのかを、最初からある程度把握することができてしまえるし、そもそもそのような装置が付いていると、運転手はふだんから安全運転をせざるを得ないというか、そういう傾向になってしまうので、結果的にこの保険の加入者は事故発生の可能性が低く抑えられて、その分が料金に反映できるのだと。


まあ言われてみればたしかに、であり、やはり昨今のこの世の便利さというのは、ある程度自分のデータを差し出すことでゲットできるものなのだなと今更のようだが思う。実際その保険に入って、仮に今後もっとお得な保険を見つけたとしても、このデバイスでログ参照の機能をもう手放す気になれないとその人は言っていた。その気持ちもなんとなくわかる気がした。本来、個人個人の内側にあったはずのものをあらかじめ共有してしまうことで、楽しい相互監視状態にして、必要なことは便利に上手く快適にやると。ある意味すべてはシェアリングエコノミーであり、AIへのデータ入力もつまりはそういうことかもしれない。


「渡すな!」というとき、何を渡すべきでないのか、まあ、上記のようなことはむしろ全部渡してしまってもかまわないような気がする。amazonfacebookgoogleも、なぜあれほど巨大なのかと言うと、とてつもないユーザー数とデータを持っているからだ。しかしそれでかまわない。そのままもっと便利にしてしまえばいいし、もはや抵抗しても無駄だ。肝心なのは、そうやって全て渡してしまったとしても、結局はまだ、何かわけのわからないものが書かれるということだ。