空虚

休暇明けのメール受信箱を見るのは、ホラー映画の始まった直後の緊張感に耐えるようなもの。まず厄介そうな件を確認して、大事にはならずに済みそうだったのでほっとして、午後になってもう一件、気掛かりなやつの打合せを終えて、とりあえずある程度は見通しの立ったような気になって、ようやく若干の落ち着きを取り戻す。たまに僕も、忙しいとか厄介だとか遅くまで残業とか、そんな言葉を書き散らすときもあるが、それもなんというか世間一般の、本気で忙しい人々に比べたら、自分なんてほとんど目視不可能なくらいちっぽけな、これしきの働きをお前は忙しいなどと、いったいどの口が言うのか?などと問い詰められそうな程度でしか、実は忙しくないのだ。それはそうだが、とはいえこれは比較の難しい話でもあって、月当たりの労働時間で比べてどうこう言っても仕方がなくて、月三百時間働いてすこやかな人だってなかにはいるだろうし(あまりいないか)、その半分で嫌だという人もいる。働きすぎてもキツイしまるで働かなくてもそれはそれでバランス崩して死にたくなったりする。関係ないけどそれにしても最近の情報漏洩とかバックアップが公文書じゃないとか、あんな話を聞いてると薄々わかっていたとはいえふだん機密性だの完全性だの騒いでいるのがつくづく虚しくて、もはやヒトとして虫とか小動物からも呆れられて嘲笑されるレベルの空虚さで思わず死んだ目になる。