ハリウッド

Amazon Primeタランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)を観る。ただしこの映画のラスト三十分が嫌いなので、その手前で止めておしまい。それにしても本作のディカプリオは、ロメール緑の光線」の女の子と同じくらいかそれ以上に泣く人だ。頻繁に自信喪失と回復を繰り返すわけだが、そういう場面がそれほど笑えないというか、なぜかわからないけどキャラとしてスベッてるというか、ピタッと世界にハマってない感じがするのは、初見時の印象と変わらないのだが、そもそもタランティーノが、こういうメンタル弱い系なキャラクターを描いたことが今まであったのだろうかとも思うが、でもべつにそんなことは、この映画においては大した問題じゃないのか。気にするところが違うのか。

シャロン・テートはひたすら能天気でおばかさんな感じの、世の中に対して斜に構えたところ一切無しな人で、はじめて観たときには、ああ最後にこの子が殺されるんだなーと思って観てたけど、実はそのまま、なだけ。ヒッピー娘の、最初は調子良くて元気いい感じから、集団になったときの、若い者に特有な、連絡係の迅速な動きとか、じつに陰湿感漂ういやな雰囲気、愚かで邪悪な若者たちの、しだいに濃厚さを増すいやらしいムード。リーダーの男の乗馬姿のカッコよさ、ディカプリオとブラット・ピットの雇用/被雇用の関係、金持ちと貧乏/栄誉や富の有無/プライドを守ることと捨てる(シフトする)こと、それらの歴然とした差の描きかたと、それを超越しているブラット・ピットという存在。そして(観てないけど)死んでもいい連中を最後に叩き殺すと。(けっこうおもしろい?いや、確かにまあ、つまらなくはない。)

観終わったら、もう夕方の五時前だった。ああ日曜日もこれで終わり…。それにしても日の入りが遅くなった、まだ外は十分明るい。駅近くの居酒屋を久々に訪れてテイクアウトした。厳しい時世だがこの店には何とか頑張ってもらわなくては、と思ったけど客一人に出来ることなどタカが知れている。…とはいえ。