皮下

フィットネスクラブを休会してからすでに2か月以上が経つ。当のジムはまだ臨時休館中だ。そして、さすがにいよいよ、体重が変動増加し始めた。ずっと運動らしい運動もしないで家にいてばかり、それで今まで通り食べているのだから当然のことだ。というか僕の場合、食べる量はさほどでもないと思うのだが飲酒量は少ないとはいえず、やはり運動無しでこの飲食ペースを続けていたら、自分の基準値に決めている体重を維持することは難しいらしい。

これまでの人生で、一番体重が増えた時期は2016年で、しかしそのときでさえ標準体重には届かない程度で、僕はもともと体質的に痩躯なのでBMI的には常に"やせ"または"やせすぎ"なのだが、しかし2016年はなにしろ血液検査と尿検査の結果が悪すぎ(のみすぎ)で、その対処として翌年から運動と節食をはじめて、約半年ほどで二十代の頃と同等にまで体重が落ちて、健康診断の結果も一応改善はした。そのときに実感したのが、軽い身体は気分がいいというものだった、気分がいいというよりも、疑似的に若返ったような錯覚をおぼえるのだ。急激に痩せると老けてみえると言うし、実際そう言われたこともあるが、自分の感覚的にはそれで良いのだから良い。そう思って、その気分を維持したいがために、面倒くさい運動を今まで続けてきたところはある。

(なんか似たようなことを過去にも書いたような気もする。最近、そういうことがやけに多くなった気もする。)

で、いよいよ最近になって、その感覚が遠のいてきたのを感じる。上半身にうっすらと薄い膜が張って、シャツにくるまれた内側の体積がかすかに膨張し始めているかのような、この、自分が世界から数ミリ分だけ後退して、感覚にその分だけフィルタが掛かってしまったかのような、それへの不満と、何かに包まれ守られているような不思議な安心感をおぼえる。そういう感じが、2016年までの自分の基底にはあったと、最近思い出した。