新車両

最近あまり乗らないから、この前はじめて気づいたのだけど、日比谷線の新しい車両の座席は、やけに立派というか、肘掛で一人用に区分された席が、ずらっと並んだようになっている。同じく毎年、正月に実家に帰るときしか乗らないから印象にないけど、たしか西武線も新しい車両はそんな感じだった気がする。セパレート型というか、隣との境界がはっきりしていて、後頭部を支えるところまであって、ちょっとした映画館の座席みたいになってる。いや、たぶん昔の、僕が中学生の頃の映画館の座席より、今の西武線の座席の方が、ふつうに快適である。というか、いや、こんなことを言うのもアレだけど、今のアテネフランセの座席より、西武線の座席の方が、ふつうに快適である。でも、それは仕方がないというか、べつにぜんぜん文句を言う気はないのだが。で、今調べてみたけど、西武線日比谷線も、どうやらあれは、左右向かいあったロングシート状態から、二座席ずつ前向きの特急電車みたいな状態に、変動が可能らしい。こうして少しずつ、電車内の雰囲気も、快適できれいでカッコよくなっていって、あと二十年もしたら、いまの駅とかホームとか車両内の雰囲気が、おそろしく古臭くて昔っぽいものに思えるのだろうか。僕が小学生の低学年ごろまでは、西武線もまだ床が木材だった気がする。黒く油が染み込んでいて、強い刺激臭のする木の床。車両と車両の間の連結部分は鉄板が二枚重なっていて、それがずるずるとこすれ合っていたし、車両間を包み込む蛇腹型のシートの角には小さな穴が空いていて、高速で流れ去る地面が、その穴から覗き見えたように思う。