良い作品になりつつあるという感触を強く感じながら制作している、そんな夢を見ていた。

切り刻まれ、折り重ねられた紙片が、所々剥離しながらも、支持体の上に貼りつきインパクトのあるテクスチャーで迫ってくる。非常に好ましい混沌の度合い、未整理ながら豊かな奥行きが生まれつつあり、このまま良い波に乗っていける確かな予感を得ている。

まるで相手の玉を詰める手筋まで読めた将棋盤のように、目の前のイメージがすでに魅惑的なので、胸の高鳴りをおぼえる。肝心な局面ではあるのだが、そのプレッシャーに呑まれるのが自分の悪い癖というか、しっかりと腹を括れてないのが自分の弱さであるのもよくわかっている。

自分ひとりの手柄に、強欲すぎるのだと思う。いちばん大事なのは技術でもなければセンスでもなく、人としてのマトモさと、落ち着きと、他人を慮れるだけの心の余裕だ。

ゆとりは大事、経済的にも精神的にも。それを思いながら画面を凝視している。手前に布団が敷いてあって、ひとまず横になろうかと思うが、さっきから気管支炎のように喉の奥で響くものがあり、やけに息苦しくて、このまま横になっても眠れそうにない。