Who Knows (Jimi Hendrix) >>> Album 「Band Of Gipsys」 1970


Band of Gypsies


15歳くらいのときはじめて聴いた。僕にとっての「ファンクミュージック」初体験がこれ。この曲のおかげで、僕の中で「ファンク」っていうものに、はっきりした固定イメージが植えつけられてしまった。


この演奏が入ってるアルバム「Band Of Gipsys」だが、有名なのは2曲目の「Machine Gun」であろう。ただ自分にとって決定的な演奏だったのは、アルバムのオープニングを飾るこの曲「Who Knows」。こんな始まり方がアリか!? って感じ。とにかく暗い。ありえないほど、暗い。この暗さが全て。と言って良いような雰囲気の中で、バディ・マイルスのハイハットだけが恐ろしく規則正しい単調さで、9分間刻み続けられている。なぜこのような暗い、異様な演奏がなされなければならなかったのか、僕は考えれば考えるほど、もうさっぱり判らないんである。変な感想文ですが、はっきり言うとみんなが、これを聴いて、僕のように疑問に感じない事のほうが、よっぽど変なのです。


後半、ゆっくりフェードインするかのように入ってくる2度目のギターソロでは、エンジニアのエディ・クレイマーによって開発された、オクタビアというエフェクターが使われている。あまり詳しくは知らないけど、要するにアンプリファイズされた音をアナログ的に上手いこと取得して、倍音にして同時再生するような仕組みなんですよね?今ならデジタル技術で小学生にでもできそうな話だが、当時は極めて難しかったのだろう。すごい不安定な、怪しすぎな音が放出されている。これがまた、たまらん。もう取り返しが付かないような、耳を塞ぎたくなるような、眉をひそめずにはいられないような、ひどすぎる音だ。。このギターソロは、もう20年聞いてるけど、ほんと素晴らしいですわ。。


自分の中ではファンクは踊れるとか、体が浮き立つような。とかいう要素はあんまり重要じゃない。粘りがあること。シンプルであること。モノの物質感がはっきりしてること。違和感というか齟齬の軋みがあること。言葉であらわすと、そんなニュアンスだ。