電気の棋士!!!!!(Electoric Shogi Warrior)


電気の武者



今回の文章に関しては、いつにも増して、ものすごくひどい、ほぼ小学生以下な感じを出す事にかなりのレベルで成功した。こういう事を書くと「実はこういうのは意図的で、俺は本来きっちりした文章も書けます」と言いたげになってしまうが、全く普通にこれが普通です。ビジネス文書とかは、たぶん人並みに書けます。


さて、将棋に関しては、ボーダフォンVアプリ森田将棋」中級で、大体勝てる。といったレベルの人間です。でもたまに負けることもある。


 将棋ゲームで、負ける理由は様々だ。でも、はっきりいえるのは、決して僕の実力がゲームの思考ルーチンに及ばないから。という理由だけではないという事だ。っていうか、ゲームの将棋との対戦なんて、こちらの持ち時間が無限にあるんだから、理論上永遠に読んでられるのだから、しかも相手は大して強くないんだから、その気になればかなりの確率で勝てると思った。勝てない理由は、自分が、読むのを放棄するからである。読むのを放棄するつもりなんて全くないのに、あとで気付くのだ。(ああ、あそこで僕は何かをあきらめて、投げちゃったんだ)って。(今までの「しなやかな思考を育んでいた自分」がすっかり死滅しちゃってたんだ)って!


それは取り返しがつかない過ちなのだけれど、でもその瞬間は、それが過ちだとは全く思えないのだ。 だから、絵を描くことは将棋に似ている。なぜかっていうと、将棋を指してると、1たす1が判らなくなっちまうからさ(By月下の棋士)


そうそう。月下の棋士という将棋を題材にした漫画があったが、今も連載してるんだろうか?10年前までは熱烈に読んでいたのだが…。


あの漫画のテーマは「将棋」であるが、厳密に言うと「将棋」を取り巻く人々の人生やら生き様。みたいなものが(相当漫画的に)描かれているものであった。


自分としては、特に後半からもう、あの物語自体にはうんざりしていたが、能條純一の描く、「劇画の真髄」とも言える様な絵は素晴らしかったと思う。あの見事に描き込まれた棋士の座姿や表情の絵だけが見たくて読んでいた感じ。


月下の棋士なんて、特に後半は、どう考えても読むに耐えない内容の話であったが…。でもかなり後まで好きだった。氷室将介をはじめ、刈田とか、大原巌とか、最初の頃(氷室と滝川の非公式戦くらいまで)はほんと良かった。


ああいうのは任侠物とか味代劇の良さで、型にはまればはまるほど良い。僕の場合、世に存在する表現においては、とにかくきっちりと型にはまった、自信満々の(やや古びた)保守的傾向を、かなり愛しているし、そういうものを、これからもできるだけ、味わいたいと思う。この年でそう思ってるんで、一生そういう趣味なのだろう。


なので月下の棋士に関しては、後半いかにも連載終了のタイミングを逸したという感じで、少年ジャンプ的展開の予感が漂ってきた辺りから、読むのやめた。物語の崩れは我慢できても、絵のパワーに翳りが出始めた気がしたからだ。そうなると、もう見るべき部分は無いと思われる。・・・あれから10年。まだ連載中というのがすごいけど…。。


ところで、先日やってたNHKの「プロフェッショナル」という番組が羽生善治を特集していた。この番組は前にも一度か二度みたけど、これまた非常に下らない恥ずかしい演出をする番組であって、特集される人が気の毒に感じられるようなモノではある。まあしかし、今回に関しては、最後まで見てしまう。なぜなら映像中の羽生善治という人物が、もう言葉を失うほど御麗しいからです!


羽生は昔からすごく容姿端麗で素敵な感じの人だったが、テレビカメラに映ったその映像では、おそろしく地味な姿で千駄ヶ谷の街を歩いていて、若々しさは微塵も無かった。僕と同い年で、昔より明らかに中年臭くなり、少しやつれて翳りのある感じではあったが、…しかし、それが一層深い魅力を湛えて迫ってきた。あの一人でサンドウィッチ食ってるシーンなんか、死ぬほど良かった。対局の終盤、あんなに苦悩と焦燥に悶えるような表情で、手の震えが抑えられないような状態になる事は知らなかった。


羽生の人生が、今も継続中であり、この後も続く。というのは、当然のことなのだが、しかし、何というか・・・恐ろしい事だと感じた。ひどい話だけど、迂闊にも僕のイメージの中で、もはや、羽生はすっかり「生身の人間」では無かったから…。しかし、映像の力というのはものすごくて、ただただ圧倒されて、映像内の羽生だけを見つめてたいと思ってしまう。非常に鬱陶しいナレーションやBGMを聞き流しながら、とにかく、いつまでも、羽生を見つめ、何か感じ続けたいと思わせるのであった。


まあ僕は、プロ棋士棋譜など見ても、何も判らないし、序盤の局面を見て「すさまじい嵐の予感」を感じる事もできないのだけど…。